バレーボールは、コートの中に6人の選手が入って協力して試合を運んでいき、相手から点を奪っていくスポーツです。
団体競技には、野球やサッカーなどもそうですが、ポジションという「役割」があります。
役割分担をしっかりとおこない、割り当てられたポジションでの役目をきっちりこなすことで、それぞれの選手がバランス良く動いて協力体制が出来上がり、流れるように点数を取っていけるようになります。
今回は、バレーボールのポジションと、それぞれの役割について解説していきます。
また、後半ではポジションに関する注意点をまとめましたので、是非最後まで読んでみてください。
バレーボールのポジション一覧とその役割
バレーボールのポジションは、主に5つに分類されます。
- ウイングスパイカー/アウトサイドヒッター(呼び名が違うだけで同じポジションです)
- オポジット
- ミドルブロッカー
- セッター
- リベロ
これらの5つがバレーボールのポジション名です。
なお、バレーボールにおいて紛らわしいのが、1点を取る度にローテーションで選手たちがポジションをぐるぐると回ることです。(連続得点では回らないためさらに紛らわしいですが。。)
サーブを打つ選手が都度変わり、1人ずつずれていくため、ラリーが始まる際の選手たちの立ち位置は毎回変わります。
ただ、このラリー開始時の立ち位置がそのままポジションになるのではなく、サーブを打ったら本来の自分のポジションに戻って試合を進めます。
時々、サーブがローテーションで回るから、ポジションも毎回変わっていくと思っている人がいますが、そんなことはありません。
サーブを打つたびに自分の役割が変わってしまったら混乱が生じます。
ポジション、つまりチームの中での役割は、試合を通して変わりません。
それでは一つひとつのポジションについて、より詳しく見ていきましょう。
ウイングスパイカー/アウトサイドヒッター
ウイングスパイカーは、またの名をアウトサイドヒッターともいいます。
この2つは同じポジションを表していて、役割としての違いはありません。
少し前までは「アタッカー」と呼ばれていたポジションで、レフトやライトからスパイクを打つなどのアタックを仕掛けて、点を取りにいきます。
アタッカーは攻撃を仕掛けて点を取っていくポジションなのでチームの花形であり「エース」と呼ばれることもあります。
とにかく攻撃したい!目立ちたい!スパイクを打ちたい!という人向けのポジションです。
アタックのしやすさから、右利きの人はレフト、左利きの人はライトに配置されることが多いのが特徴です。
ウイングスパイカー/アウトサイドヒッターの役割
ウイングスパイカー(アウトサイドヒッター)の役割は「自分を含むチームメイトがレセプション(サーブレシーブのこと)をおこなったら、トスを待ちスパイクを打ってチームに点を入れる」というものです。
ただ、ひたすらスパイクだけ打っていればいいかというとそういうわけではなく、レセプション(サーブレシーブ)をすることもありますし、相手チームから飛んでくるスパイクをレシーブするスパイクレシーブをすることもあれば、ブロックを行うこともあります。
攻撃も防御もできるオールラウンダーが求められるポジションです。
また、セッターが上げる正確なトスだけでなく、他のプレイヤーが上げた不安定なトスを捉えてスパイクを打つこともあるため、高い技術と判断力が必要とされます。
オポジット
オポジットは、セッターの対角に位置するポジションのことを指します。
ただ、最近では「スーパーエース」というイメージが強く、攻撃専門のポジションと認識している人も少なくありません。
オポジットの選手は基本レセプションはせずに、ひたすら強烈なスパイクを打って攻撃を仕掛けるポジションで、例え後衛にいてもレシーブをすることは基本ありません。
オポジットはセッターの対角線上のライト側に配置され、セッターが上げたトスを捉えてスパイクを打つのが基本ですが、それ以外のボールでも攻撃の機会があれば積極的に相手にアタックを仕掛けていきます。
オポジットの役割
オポジットの役目は「とにかくスパイクを打って攻撃して点を取る」というものです。
アタッカーという意味ではウイングスパイカーの役目と似ていますが、ウイングスパイカーはレセプションやディグ(相手からのスパイクをレシーブする)も積極的におこない、守備力も攻撃力も求められるのに対して、オポジットは守備は基本おこなわずに攻撃に徹します。
ミドルブロッカー
ネット側の前衛の真ん中で、主に相手のアタックをブロックするポジションです。
ネット際で攻撃を防ぐため、高身長の選手が配置されることが多く、チームの防波堤のような立ち位置となります。
また、ブロックするだけでなく、長身を生かして相手を圧倒してアタックしたり、ネット際だからこそできるクイックアタック(速攻)で点を取ったりすることも行います。
ミドルブロッカーの役割
ミドルブロッカーの役割は「相手チームのアタックをブロックすることと、チャンスを見極めてクイックアタックで点を稼ぐこと」です。
相手チームのアタック全般を受け止めて点を入れられないように阻止する重要な役割を担っているため、どんなアタックも必ずブロックするという気概が求められます。
あらゆるアタックに反応し、正確にブロックするために、さまざまなアタックをブロックする練習を重ねる努力ができて、どんなアタックもブロックしようとする根性がある選手が適任とされます。
反応の良さも必要で、瞬発力が重要になります。
時にはクイックアタックを仕掛けて相手チームにボールを打ち込むことが必要なので、「ここで攻撃をしかける」と決められる判断力の高さも求められます。
セッター
セッターはチームの勝敗を左右する非常に重要なポジションです。
アタッカーにトスを上げるのが主な仕事となり、試合中に最もボールに触れるポジションです。
セッター本人がアタックすることは少ないため、身長が低い人でも十分に活躍できるのが特徴です。
試合の流れを掴み、支配する、いわば「司令塔」のような立場で、試合運びを冷静に見極めてアタッカーに「良いトス」を上げることで得点につなげます。
セッターの役割
セッターの役割は「アタッカー(スパイカー)の攻撃につながるトスをあげる」ことです。
チーム内でのボール運びを支配し、攻撃の助走にあたる部分を請け負います。
直接攻撃を仕掛けて点を獲得するわけではないので、目立つ花形ポジションではないものの、セッターが良いトスを上げられないとアタッカーが良いスパイクを決められないため、非常に重要な役割を担っています。
どれほど優秀なアタッカーがいても、セッターの調子が悪いとチームが負けるとも言われています。
セッターは、アタッカーに的確なトスを上げるだけでなく、相手コートの状況も瞬時に掌握し、どのアタッカーにどのようなトスを上げるのか判断しなければなりません。
リベロ
リベロは、バレーボール界の中では比較的新しいポジションです。
1996年に試験導入され、1998年から正式に導入されました。
守備専門という一風変わったポジションでユニフォームの色が異なるため一目見て分かります。
サッカーで言うとことのキーパーのようなイメージです。
リベロは、アタックができないという制約付きで、ひたすら守備に徹します。
相手のアタックを受けてボールを捉え、レシーブやトスでチームに貢献することで存在意義を発揮します。
後衛であれば、いつ誰と交代してもいいという特殊なポジションです。
リベロの役割
リベロの役割は「相手チームから飛んでくるボールに対し、レシーブやトスをおこなってボールを繋ぐ」というものです。
守備専門のポジションなので、ボールをコート内に落とさずに着実に拾ってチーム内で繋げる、あるいはチームの攻撃のチャンスを作るという大切な「縁の下の力持ち」のような立ち位置を担います。
例えば、相手チームから飛んで来たボールをレシーブし、良いトスを上げられるようなパスをセッターに回して、その最高のトスを受けたアタッカーが攻撃を繰り出す、といった連携プレーの要としての活躍が期待されます。
アタックを頻繁に繰り出してくるチームに対して、絶対にボールを落とさない、必ず拾うというガッツを見せられる人が適任とされ、身長の高低に関わらず努力とセンスで誰でも活躍できるポジションです。
レシーブについて詳しく知りたい方は、下記の記事で解説していますので参考にしていただけると幸いです!
ポジションに関するルールや注意点
バレーボールのポジションについて、役割や特徴を解説しましたが、バレーボール初心者を混乱させるのが「バレーのサーブってローテーションだから、サーブを打つ順番が回ると選手の立ち位置も変わるけれど、ポジションも変わるってこと?
それともサーブを打つ人だけがサーブを打つポジションに移動するってこと?」という点です。
バレーボールにはローテーションという独特のルールがあるため、ポジションを理解する上で初心者を混乱させますが、このルールとポジションの注意点をしっかり理解しておけば、スムーズに試合を進められます。
ポジションに関するルールと注意点を見ていきましょう。
ローテーションに気をつける
ポジションとローテーションをごちゃごちゃにしてしまい、混乱してしまう人が多いですが、ポジションとローテーションはまったくの別物です。
ポジションは試合中の立ち位置と役割、ローテーションはサーブを打つ順番です。
バレーボールでは、試合前に「ラインアップシート」というものを提出します。
これがサービス順となります。
▼ラインアップシート
このラインアップシートの丸の中に、選手の背番号を記載し、ラインアップシートで申告した順番で選手がコート内に並びます。
その時サーブの順番が回ってきた人がサーブを打つ場所に立ち、そこから時計回りに2番目、3番目、と回っていきます(ローテーション)。
そして、サーブを打った後に、選手たちは本来の自分のポジションに素早く移動します。
例えば前衛レフトのウイングスパイカーが、ローテーションでライトの位置に立った場合、速やかにレフトへ移動します。
ローテーションの立ち位置が自分のポジションと同じ場所であれば、移動する必要はありません。
なお、サーブ権が相手チームから移り変わるタイミングでローテーションが回りますので、自分のチームが連続してサーブを打つ場合はローテーションは変わりません。
サーブ順に注意
ローテーションの順番はラインアップシートの通りでなければなりません。
自分の前後の選手をしっかりと把握しておけば間違えることはありませんが、サーブを打った後に本来のポジションへ移動することになるので、試合中のポジションとサーブを打つ際の立ち位置が変わる際、サーブ順を間違えないよう注意する必要があります。
サーブ順を間違えるミスが起こると、相手チームの得点となってしまうため、絶対にミスしないように気を付けなければなりません。
ポジションとローテーションの違いをしっかりと理解して、サーブ順を間違えないように頭の中を整理させましょう。
ポジションを移動するタイミングに注意
サーブを打った後に、ローテーションの立ち位置から本来のポジションに移動する際にも注意が必要です。
バレーボールのルールでは、「ポジション移動はサーブを打った後でなければならない」とされています。
よくあるのは、サーブを打つ選手がトスを上げた時点でポジション移動をしてしまうというミスです。
「サーバーの手からボールが離れてから」というルールなのですが、トスを上げただけではNGで、サーブを打ってからというのが正しいタイミングになるため、焦ってフライングしないよう注意しましょう。
サーブを打つ前にポジション移動してしまうと、反則を取られてしまいます。
まとめ
今回は、バレーボールのポジションについて、そしてポジションで注意すべきルールについて解説しました。
バレーボールのポジションは、時代や国によって名称が異なり混乱する人が多いですが、現在は「ウイングスパイカー/アウトサイドヒッター(攻撃も守備もこなすオールラウンダー)」「オポジット(主に攻撃に特化したスーパーエース)」「ミドルブロッカー(ブロックと速攻を担う防波堤)」「セッター(アタッカーに最高のトスを上げる司令塔)」「リベロ(守備専門の異色の新ポジション)」の5つのポジションがスタンダードです。
試合中に各々の役割をこなすポジションと、サーブを打つ際のローテーションはまったくの別物で、サーブの順番をしっかり守ることや、本来のポジションへ移動するのはサーブを打った後といった細かいルールに気を付ける必要があります。
ポジションそれぞれの役目とルールをしっかりと理解し、自分が活躍できそうなポジションを目指してスキルを磨いてみてください。