バレーボールには、セッターというポジションがあります。
セッターは、スパイカーのようにカッコよくスパイクを決めたり、リベロのように華麗にレシーブをすることは少ないです。
しかし、バレーにおいてセッターは不可欠な存在であり、セッターの活躍によってチームの勝敗が左右されます。
今回は、チームの司令塔とも呼ばれるセッターの役割を解説します。
後半にはセッターとしてレベルアップするための練習方法なども紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
バレーボールのセッターの役割とは
バレーボールにおいてセッターの役割は、大きく分けると下記の2つです。
- スパイカーへのトス
- 両チームの状況判断
バレーボールの試合のルールでは相手コートにボールを返すまでに、3回ボールに触れます。
そのうちの1回は必ずセッターがスパイカーにトスを上げますので、スパイカーにトス上げる仕事がセッターとしてのメインの役割です。
それでは、それぞれの役割について詳しく解説していきます。
スパイカーが打ちやすいトスを上げる
セッターにおいて1番重要な役割はスパイカーにトスを上げることです。
しかし、スパイカーにトスを上げるといっても、闇雲にスパイカーがいる方向にトスを上げるだけではいいセッターとはいえません。
いいセッターは、スパイカーに対して打ちやすいトスを上げることができます。
スパイカー1人1人、打ちやすいトスは変わるため、日頃からコミュケーションをとり、ネットからの距離、高さ、長さなどの打ちやすいトスを把握しているセッターがよいセッターといえるでしょう。
また、チームでの戦術によっても求められるトスが変わってきます。
スパイカーにとっての打ちやすいトスのイメージができていても、それを実現できないと意味がありません。
そのためにも優れた技術力を身につけ、自分のイメージしたトスを上げれるように練習していきましょう。
自チームや相手チームの状況を分析・把握する
セッターの役割は、スパイカーにトスを上げるだけではありません。
チームの司令塔とも呼ばれるセッターは、自分のチームの状況や相手チームの状況を分析し、把握する必要があります。
試合中の得点差や優勢、劣勢などの状況を判断し、チームメイトを動かすこともセッターの役割です。
スパイカーに打ちやすいトスを上げることでスパイカーの調子もどんどん上がり、チームの雰囲気が良くなることでチームの勝利にも繋がることがあります。
そのため、状況に合わせて誰にトスを上げたらいいのかなどといったことを、常に考えながらプレーしないといけません。
また、相手チームの状況を把握しトスの配分や戦術を変えていく必要もあります。
仮に相手コートに調子の悪い選手がいる場合は、徹底的に狙ったりと、勝つために貪欲な戦術を考えながらトスの割り振りを行いましょう。
バレーボールのセッターに求められる能力
チームの司令塔であるセッター。
チームの勝利にセッターの力は絶対に必要です。
ここまでは、セッターの役割をご紹介しました。
ここからは、セッターに求められる能力について解説していきます。
主に必要となる能力は下記のとおりです。
- 俊敏性
- 判断能力
- トスの正確性
ここからは、この3つの能力を詳しくご紹介します。
俊敏性
セッターにおいて俊敏性はトスの正確性に並ぶ必要な能力です。
前衛・後衛どこにいても、ラリーが始まった瞬間に定位置でボールを受け取れる体制を整えておくことがセッターには求められます。
すぐにボールをトスできる準備を整えることでトスの正確性も上がり、スパイカーにとって打ちやすいトスを上げれるでしょう。
そのため、セッターには俊敏性が必要になります。
判断能力
判断能力もセッターに求められる能力です。
ラリーが始まると、セッターはレシーブされたボールの下に素早く潜り込む必要があります。
ボールの下にすぐに潜り込むには俊敏性も重要ですが、判断能力も重要になります。
また、チームと相手チームの状況を判断し、その状況によって誰にトスを上げるのか最善の選択をできる判断能力も必要です。
判断能力を磨く為には、プロや日本代表のセッターのトスワークを分析することも効果があります。
また、練習試合などでどのようなトスワークが効果的なのか、実験してみることも有効です。
多くの経験値を稼ぎ、判断能力を徐々に身につけていきましょう。
トスの正確性
セッターに求められる能力の中で、最も重要なのがトスの正確性です。
上記でも説明していますが、セッターのメインの仕事はトスですので、トスの正確性は非常に重要となります。
判断能力・俊敏性が高くても、トスが自分の思い描いたイメージとは程遠いところに上がってしまうと、スパイカーは打ちづらく効果的な攻撃ができません。
そのため、トスの正確性を上げ、スパイカーにとって打ちやすい、相手ブロッカーがブロックしにくいトスをどんな状況、体勢でも正確に上げることができるように練習を行いましょう。
セッターのバレーコート上の動き
ここまでは、セッターの役割や求められる能力を紹介しました。
ここからはセッターの試合中の動きについて解説します。
正確なトスを上げたり、コンビバレーで相手を翻弄したりするには、試合中のセッターの動きを理解することも重要ですので、ぜひ参考にしてください。
セッターの定位置
セッターの定位置は、アタックライン内の中央から少しライト側の位置がセッターの定位置になります。
基本的にはこの定位置で、レシーバーがボールを上げてくれるのを待ちましょう。
しかし、必ずしもこの定位置にボールが上がってくるわけではありません。
そのためこの定位置は基準にしつつも、レシーバーのレシーブが乱れた場合はすぐさまボールの落下地点に入り、スパイカーにトスを上げてください。
ラリー中の動き
ラリー中の動きは前衛と後衛で少し変わります。
基本的には定位置でのスタイバイとはなるのですが、少し細かく説明するので参考にしてくださいね。
セッターが前衛の場合
セッターが前衛の場合、相手のスパイクを止めるためにブロックを飛ばなければいけません。
そして、ブロックを飛んだ後すぐに定位置でスタンバイし、レシーバーがボールを上げてくれるのを待ちます。
ただ、おそらくブロックの着地とほぼ同時くらいにレシーバーがレシーブすることになるため、すでにレシーバーがレシーブしている場合は定位置に入ることなくボールの落下地点にすぐさま入り、トスの準備を行いましょう。
また、自分がブロックを飛ばなくてもよい場合は、まずはレシーブの準備を行い、相手チームのスパイクのレシーブ体制に入ります。
そして、自分の方向にスパイクが飛んでこなかったら、すぐに定位置に移動し、レシーバーがレシーブするのを待つ動きが前衛の動きです。
セッターが後衛の場合
セッターが後衛の場合も、まずは相手チームのスパイクをレシーブするため、レシーブ体制に入ります。
そして、自分の位置にボールが飛んでこなかった場合は、すぐさま定位置にスタンバイし、トスを上げる準備を行いましょう。
もし自分のところにボールが飛んでき、レシーブを行った場合は、セッター以外の選手がトスを上げることになります。
おそらくチームによって、セッターが1本目のレシーブをした場合誰がトスを上げるのかを決めているケースがほとんどで、その多くはリベロか前衛のライト選手であるのが一般的です。
そのため、セッターがレシーブをする場合は、他の選手がトスを上げやすいようコート中央付近にボールを落下させるイメージでレシーブを行いましょう。
サーブカット時の動き
セッターは基本的にはサーブカットに参加しません。
前衛にいても後衛にいてもサーバーからボールが離れた瞬間に、コート中央のネット際に素早く移動し、サーブカットで上がってくるボールを待ちましょう。
こちらもセッターが前衛か後衛で少し動きが変わるため、説明していきます。
セッターが前衛の場合
セッターが前衛の場合は、相手がサーブを打つ前からアタックライン内の定位置でスタンバイしておきます。
その位置でレシーバーがサーブカットをするのを待ちましょう。
セッターが後衛の場合
セッターが後衛の場合は、前衛の選手よりも前(ネット側)にいると反則を取られてしまいます。
しかし、すぐさまネット下の定位置に移動する必要があるので、自分の前にいる前衛選手のすぐ隣付近で、相手チームがサーブを打つのを待ちましょう。
そして、相手チームのサーバーがサーブを打つと同時に、ネット下の定位置に移動しレシーブでボールが上がってくるのを待ちます。
この時注意しないといけないのが、定位置に移動するタイミングです。
移動する際は、必ず相手チームのサーバーがサーブを打ってから移動してください。
サーブを打つ前に移動してしまうと反則を取られてしまいますので、1点を失うことになってしまいます。
セッターがトスを安定させるコツ4選
ここまで、セッターの役割や動きを解説させていただきました。
ここからは、セッターの悩みとして1番多い、安定したトスを上げるコツをご紹介します。
「遠くまでトスが上げられない」
「バックトス、平行トスが上げられない」
などの悩みを解決するためにも、下記で紹介するコツを参考にしてみてください。
- 手の形や高さを揃える
- 落下地点に素早く入り、正しい位置でトスを上げる
- 均等な力でトスを上げる
- 腕の力だけでトスを上げない
手の形や高さを揃える
トスを行うときの手の形は、両手の人差し指と親指で三角形を作り、ボールを包み込むようにして上げます。
ボールを上げる時に手のひらでボールに触れてしまうと、ボールのコントロールがしづらいため、指でボールをキャッチし、弾くようなイメージでトスを上げましょう。
手の高さはおでこのすぐ上付近でトスをあげることも安定したトスをあげるコツのひとつです。
落下地点に素早く入り、正しい位置でトスを上げる
トスを安定させるためには、おでこのすぐ上でトスを上げられるよう、落下地点に素早く入る必要があります。
レシーブで上がってきたボールの落下地点を瞬時に見極め、ボールの真下に入り、トスを上げましよう。
この判断が遅くなってしまうと無理な体勢でのトスになってしまい、トスを上げづらく、スパイカーの打ちにくいトスになってしまいます。
均等な力でトスを上げる
トスを上げる時には両手に均等な力を入れましょう。
トスを上げる際に右手にだけ力が入りすぎていたり、無駄に力を入れすぎていると自分のイメージ通りの方向にトスが上げれなくなってしまいます。
トスを上げる時には両手に均等な力をいれ、トスを上げるようにしましょう。
腕の力だけでトスを上げない
トスを上げる時に腕の力は重要になりますが、腕の力のみでトスを上げてしまうと安定したトスができなくなってしまいます。
それこそ、腕の力に左右差が生まれてしまい、トスが安定しない可能性が高いです。
そのため、身体全体、下半身などを使用し、トスをあげるようにしましょう。
また、膝のバネを使用することでノビのあるトスを上げることができます。
セッターとしてレベルアップするにはどのような練習をすればいい?
打ちやすいトスを上げるコツを学んでも、練習量が少ないとスパイカーに打ちやすいトスを上げられません。
しかし、ただ闇雲にトス練習を行なっても、なかなか思うように上達しないのではないでしょうか。
セッターとしてレベルアップするために必要なトスの練習方法と、練習の際に意識するべきことを解説していきます。
直上トス
直上トスはトスの基本となる練習方法です。
オーバーハンドパスの構えで真上にトスを連続して上げ続けます。
オーバーハンドパスは、トスの基本なので何度も練習し、どのような状況でもオーバーハンドパスの姿勢が乱れないようにしましょう。
この練習を行うときに意識してほしいポイントは、目線と姿勢です。
トスを上げる際に、顔を上に上げてトスをしてしまうと姿勢が崩れてしまうので、ボールを見る時には上目遣いでボールを見るようにしましょう。
次に姿勢です。
直上トス練習を無理に続けようとすると、姿勢が崩れた状態でトスを上げるようになってしまいます。
無理な状態でトスを上げてしまうと、思った方向にトスが上がらなかったり、ドリブルなどの反則に繋がったりする可能性もゼロではありません。
無理な姿勢でトスを行わないといけない状況を作ってしまうことが問題なので、すぐにボールの落下地点に入り、正しい姿勢でトスを上げるように意識しましょう。
ひたすらトス練習
セッターとして上達するにはトス練習をひたすら行うことも重要になります。
いくらセッターとしての知識が豊富でも、練習を行わないことにはトスは上達しません。
誰よりもトスを上げ、経験値を積み、セッターとしてレベルアップしていきましょう。
また、トス練習の数をこなすことで自分の弱みや強みも見えてきます。
例えばバックトスが苦手や、平行トスが苦手など弱みを鍛え、弱点を克服していきましょう。
トス練習を行う際は、試合中をイメージできるよう、必ずネット下に立ちスパイカーにトスを上げるイメージで練習することが重要です。
もし可能であれば、スパイカーの選手にも練習に付き合ってもらい、改善してほしいことを話しながら練習してください。
もし付き添ってもらうことが難しい場合は、イメージしやすいよう飛ばしたい方向に的などを設置し、その的を常に狙いながらトス練習することもおすすめです。
全日本男子セッターは誰?
最後に2022年6月時点の、日本代表のセッターを紹介します。
関田 誠大
所属チーム | ジェイテクトSTINGS |
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生年月日 | 1993/11/20 |
身長 | 175cm |
体重 | 71kg |
出身高校 | 東洋高等学校(東京都) |
大宅 真樹
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所属チーム | サントリーサンバーズ |
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生年月日 | 1995/04/23 |
身長 | 178cm |
体重 | 77kg |
出身高校 | 長崎県立大村工業高等学校(長崎県) |
深津 旭弘
所属チーム | 堺ブレイザーズ |
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生年月日 | 1987/07/23 |
身長 | 183cm |
体重 | 78kg |
出身高校 | 星城高校(愛知県) |
永露 元稀
所属チーム | ウルフドッグス名古屋 |
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生年月日 | 1996/06/08 |
身長 | 192cm |
体重 | 80kg |
出身高校 | 東福岡高等学校(福岡県) |
新 貴裕
たぶん人生で一番黒くなってます! https://t.co/6pXfX1vERO
— 新 貴裕 (@takashin0810) June 8, 2021
所属チーム | パナソニックパンサーズ |
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生年月日 | 1991/08/10 |
身長 | 181cm |
体重 | 75kg |
出身高校 | 石川県立工業高等学校(石川県) |
中村 駿介
23歳になりました🙇🏻♂️
これからも自分らしく頑張ります💪 https://t.co/NwGbgB2Bn5— 中村 駿介 (@shunsuke110307) March 7, 2022
所属チーム | パナソニックパンサーズ |
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生年月日 | 1999/03/07 |
身長 | 186cm |
体重 | 78kg |
出身高校 | 大阪府立大塚高等学校(大阪府) |
伊藤 洸貴
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所属チーム | 大分三好ヴァイセアドラー |
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生年月日 | 1999/06/26 |
身長 | 190cm |
体重 | 88kg |
出身高校 | 駿台学園高等学校(東京都) |
まとめ
今回は、セッターの役割やセッターとしてレベルアップするための練習方法を解説しました。
セッターはチームの司令塔と呼ばれ、セッターの活躍によってチームの勝敗が左右されます。
試合中であまり目立つことがないセッターですが、チームにおいて無くてはならない存在です。
スパイカーのようにカッコよくスパイクを決めることはありませんが、セッターのトス次第で試合の勝敗が決まるといっても過言ではありません。
セッターの役割を理解し、スパイカーに気持ちよくスパイクを決めてもらえるようひたすらトス練習を行い、戦術理解を深めていきましょう。